契約前に確認すべき「物件情報」と「登記情報」の違い

不動産契約を進める際、多くの人が参考にするのが不動産会社から提示される「物件情報」です。しかし、実際の権利関係や法的な内容を判断するうえで重要なのは「登記情報」です。この二つは似ているようで役割がまったく異なり、混同したまま契約するとトラブルにつながる可能性があります。

この記事では、契約前に必ず理解しておきたい「物件情報」と「登記情報」の違いを整理し、それぞれをどのように確認すべきかを分かりやすく解説します。違いを知ることが、安全な不動産取引への第一歩です。

1 物件情報とは何か

物件情報とは、不動産会社が作成・提供する資料で、物件の概要を分かりやすくまとめたものです。広告やパンフレット、重要事項説明書のもとになる情報もここに含まれます。

代表的な内容としては、所在地、間取り、築年数、面積、設備、周辺環境などが挙げられます。購入希望者が物件を比較・検討するための参考資料という位置づけです。

2 登記情報とは何か

登記情報とは、法務局に登記されている不動産の公的な情報です。登記簿謄本や登記事項証明書として取得でき、法的効力を持つ唯一の情報といえます。

所有者、所在地、地番、地目、面積、抵当権などの権利関係が記載されており、不動産の「公式な身分証明書」のような役割を果たします。

3 作成主体の違い

物件情報は不動産会社が作成しますが、登記情報は国の機関である法務局が管理しています。この違いにより、情報の信頼性と責任の所在が大きく異なります。

物件情報は分かりやすさを重視する一方で、最新情報が反映されていない場合もあります。

4 面積表示の違いに注意

物件情報に記載されている面積は、壁芯面積や実測面積であることが多く、登記情報に記載されている登記簿面積とは異なる場合があります。

この差を理解せずに契約すると、「思っていたより狭い」といった不満につながる可能性があります。

5 所有者情報の違い

物件情報では「売主」として紹介されていても、登記情報を確認すると、実際の所有者が別人であるケースがあります。相続未登記や共有名義などが原因です。

登記情報で誰が正式な所有者かを確認することは、契約の前提条件です。

6 権利関係の記載有無

物件情報には、抵当権や地役権などの詳細な権利関係が省略されていることがあります。一方、登記情報には、これらが明確に記載されています。

特に住宅ローンが残っている場合など、権利関係の確認は必須です。

7 情報の更新タイミング

物件情報は随時更新されますが、更新漏れが起こることもあります。登記情報は登記手続きが完了しない限り変更されないため、手続きの遅れによるズレが生じることもあります。

8 契約判断に使うべき情報はどちらか

物件選びの初期段階では物件情報が役立ちますが、契約判断の段階では登記情報が最重要です。特に所有者、面積、権利関係については、登記情報を基準に考える必要があります。

9 情報が食い違っていた場合の対応

物件情報と登記情報に違いがあった場合は、その理由を必ず確認しましょう。説明が曖昧な場合や納得できない場合は、契約を急ぐべきではありません。

どちらが正しいかではなく、「なぜ違うのか」を明確にすることが重要です。

10 自分で確認する意識を持つ

登記情報は誰でも取得できます。不動産会社任せにせず、自分でも確認する姿勢を持つことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

「物件情報」と「登記情報」は、役割も信頼性も異なる情報です。物件情報は検討材料として有用ですが、契約の判断材料としては登記情報が欠かせません。

両者の違いを理解し、内容を照合することで、説明不足や認識違いによるトラブルを大幅に減らすことができます。契約前には必ず登記情報を確認し、納得したうえで取引を進めることが、安全な不動産購入への近道です。

著者
契約リスクアナリスト
リーガル匠

元・法務スタッフ。不動産契約書のチェックやトラブル対応を通じて、法律と実務のギャップを痛感。現在はフリーの契約リスクアナリストとして、難解な法制度を「現場でどう使うか」という視点で分かりやすく解説。不動産詐欺・業者トラブルの法的対策にも詳しい。

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